【引越し蕎麦】
突然ですが、「引越し蕎麦」の本当の意味をご存知ですか?多くの方が「引越した後に蕎麦を食べることでしょ?」と思われているかと思います。最近では見かけることもなく、勿論やっている方はほとんどいないのが現状で、ひと昔前までは行われていたものなのです。
☑そもそも「引越し蕎麦」とはいったい何なのか?
1.引越し蕎麦の歴史と現状
それでは、引越し蕎麦の歴史を見ていきましょう。
◇「引越し蕎麦」の誕生?
そもそも「引越し蕎麦」というのは、今より数百年前の江戸時代に生まれ、引越しの挨拶品として蕎麦や蕎麦切手という商品券を向こう3軒両隣(自宅の向か側3軒、左右2軒)に配っていた風習が始まりといわれています。
ちなみに、江戸時代には乾蕎麦などなかったし、生の蕎麦や茹でた蕎麦では時間による劣化が起こってしまいます。そのため、「そば切手」と言う一種の商品券のようなものを配ることが多かったとのこと。
◇「引越し蕎麦」の由来は、しゃれ言葉
なぜ蕎麦を配るようになったのか不思議ですよね。その答えは、「そば」に引越してきたことにかけたしゃれ言葉になり、
- おそばに末長く
- 細く長くおつきあいを
という気持ちが込められています。
蕎麦を配るようになる以前は、小豆餅や小豆粥を振る舞っていたようですが、どちらも高価なため、比較的安価な蕎麦になったとされています。
◇現代では「引越し蕎麦」はどうなったのか?
最近では、引越し蕎麦というのは、失われつつある文化と言っても過言ではなく、向こう3軒両隣に蕎麦を配る昔ながらの風習はほぼなくなり、家族や手伝ってくれた方達と蕎麦を食べることが多くなりました。
「配る」ことから「食べる」ことへ変化しているようです。
ですが、現在でも近所へご挨拶にうかがう時は、お菓子やタオル、洗剤などの日用品を手土産に持っていくことが一般的ですよね。お菓子や日用品が、ひと昔前までは「蕎麦」だったというところでしょうか。
2.まとめ
現代では、引越ししたら「引越し蕎麦食べに行こうか」と、食べることが一般的ですが、昔は、引越しのご挨拶としてご近所に蕎麦を配っていたということはお分かり頂けたかと思います。
いつのころからか、「配る」ことから「食べる」ことへと変わってきてしまい、引越ししたその日に「食べる」のが当たり前になってきていますが、本来の「引越し蕎麦」の意味を込めて、引越しのご挨拶の品としてご近所に配ってみてはいかがでしょうか。