引越し業界のトラブル【事例集】
引越しは、トラブルがつきものというのは昔の話で、現在ではそう度々トラブルは起こりませんよね。
引越し業者というと、昔からずっとあった業種だと思っている方も少なくありませんが、引越し業ができたのはごく最近なのです。様々な時代背景とともに引越し業界も進化し、トラブルが起こらないための様々な対策がとられています。
しかし、引越しは人がやることなので、トラブルはどうしても起こってしまうもの。そこで、ここでは引越し業界のトラブルについて考えていきましょう。
1.引越し業界スタート前後はひどかった!
現在の引越し業者がスタートする前後に引越しをする人はどうしていたのかご存知ですか?
自家用車を持っている人は自分の車で、そうでない人は一般の運送会社に頼んで荷物を運んでもらっていました。梱包のサービスなどは勿論無く、搬出と搬入運搬のみの作業だったそうです。
今では考えられないことですが、壁や床に擦りつけて傷をつけたり、輸送中に傷つくことも少なくはありませんでした。更に、大きな問題は食器などの割れ物。新聞紙でくるむなどの簡易的な方法しかなかったのです。
余程の貴重品で無い限り、お皿など多少割れても仕方ないという悲惨な状況。軽トラックに、ビニールシート1枚かぶせて運ぶっていうのが、引越しによく見られた光景だったそうです。
2.運輸省によるガイドブック
前項の様な酷い状況の中、引越し輸送の際にいかに消費者保護対策をしっかりするかを考え、いろいろな行動が起きてきました。その中のひとつが、運輸省によるガイドブックの作成です。その内容としては下記のようなものになります。
- 引越輸送契約上の責任の明確化 (標準引越約款の制定)
- 引越運賃料金の簡明化
- 引越輸送の事前相談・苦情処理体制の整備
現在では、国土交通省により「標準引越運輸約款」で引越しに関する基準が定められています。
3.現代の引越し業界
現代の引越し業界の大きな特徴は、年間の波の大きさで、特に3月下旬~4月上旬にかけての引越需要が増加し、繁忙期があることです。さらに、引越し業は、運送業であると同時にサービス業としての性格を強く持っており、家電の販売やハウスクリーニングなどの、新たな付帯サービスも次々と登場してきています。
引越市場はバブル崩壊後の日本経済情勢とともに、業者間の競争が激化し、引越し単価の低下傾向が続いています。企業はリストラを進め、それに伴い転勤を減らす傾向にあり、長距離引越が減少し、短距離引越が増加しつつあります。また、ファミリー引越が減少し、単身引越が増加してきているのが最近の傾向。
そうした中、単身引越向けに引越商品の開発が盛んになってきています。更に、引越料金のコストダウン策の一環であるとともに、環境問題への配慮から引越資材の反復利用、省力化機器、資材の導入なども積極的に進められています。
その他にも、引越品質を消費者にアピールするためにも、国際品質規格ISOを取得する業者も現れているのです。その一方で、引越市場をめぐる業者間競争の激化から一般消費者とのトラブルも増加傾向をみせています。
近年、インターネットが急速な普及に伴って、ホームページを利用した引越し業者の動きが活発になってきています。厳しい業者間の競争のなか、多様化する消費者ニーズと、ITを利用した今後の引越し業界の動きに注目していきましょう。
4.引越しトラブル事例
それでは最後に、実際に現在どのようなトラブルが発生しているのかご紹介したいと思います。それに合わせて対策法もいつくか伝授していきましょう。
【事例➀】荷物を壊された
家電製品を運ぶ際に乱雑に扱われたことが原因で破損。クレームを入れ賠償を求めたが、誠実に対応してもらえない。
【事例➁】予定の時間に来なかった
午前中に作業をお願いしていたのに一向に来ず、会社に問い合わせても連絡がとれない。18時になってようやく連絡が来たと思ったら「今日は難しいので翌朝に変更してほしい」とのこと。信用できなくなったためキャンセルを申し出ると、キャンセル料がかかるといわれてしまった。
【事例➂】キャンセルに伴うトラブル
引越しの数日前にキャンセルの連絡。解約料は請求されなかったが、まだ届いてもいないダンボールの返送費用の負担を求められてしまった。こちらから業者まで持っていけば費用はかからないとのことだが、納得できない。
【事例➃】梱包の不備
荷物の梱包まで含めたパックを依頼。しかし詰め込み方が乱雑であったため、ブランド品のバッグやお気に入りの洋服がシワだらけに…。
この中でも特に引越しのトラブルで一番多いのが、「荷物の破損や紛失」のトラブルです。
5.トラブル回避のポイント
万が一荷物の破損や損失、搬送中の交通事故などでトラブルが発生した場合を考えて、見積もり時には引越し業者が損害保険に加入しているかどうかを確認しておきましょう。
引越し業者の中には、自社保険を採用している場合もあるため、補償に関する詳しい内容を説明してもらうと安心です。また、契約を結ぶ際には、見積書や契約書といった書類が引越し業者から提示されます。
引越し業者の場合、「見積書=契約書」であることが多く、これには引越しの手順やサービス内容、法的な決まり(国土交通省告示の標準引越運送約款)が記載されています。読むのは面倒ですが、契約前にこうした書類に目を通し、疑問を解決しておくことがトラブル回避につながります。
6.まとめ
ここでは、引越しのトラブル今昔物語のようなお話でしたが、現在の引越し業者は昔のように荷物を乱暴に扱うことはありません。現在では、「標準引越運輸約款」によって細かく定められ、引越し業者も違反した場合は、ペナルティを受けてしまいます。
ですが、実際に引越し作業するのは人なので、トラブルが完全になくなることはありませんが、依頼する側もしっかり契約書の内容を確認しておくなどの準備は必要ですよ。